人ってどういう生き物なのか?ていう事が知りたいんだと思う。


タイトル:リトル・トリー
著者:
フォレスト・カーター
紹介者:菅原 裕
内容紹介:Amazonより
五歳のとき両親を亡くした少年は、山に暮らすインディアンの祖父母に引き取られ、「リトル・トリー」と名づけられる。少年は、ガラガラヘビに襲われたり、密造酒づくりを手伝って白人に追いかけられたりしながらも、祖父母から、自然と共に生きるための知恵や「霊の心」の大切さを学んでいく。ところが、心ない白人たちのせいで彼は孤児院に送られることに……。少年の目を通して描かれる、優しさと痛みとユーモアにあふれたこの物語は、人間にとって「本当に大切なものは何か」を思い出させてくれる。

紹介者の「菅原 裕さん」ってどんな人?

今日紹介する本の中でもとくに好きな、リトル・トリーって本です。これは人にあげすぎて、一番最初の本が無くなっちゃったので、もう第何十冊目かを買ってきました。大好きな本ですね。

これは何歳くらいに読んだ本ですか?

たぶん高校生の時に読んだと思います。八小堂書店で買った記憶がある。駅前にあった。

へぇーすごいな、どこで買ったとかも覚えているんですね?

ていう位これはすごい好きだったんです。最初、草思社っていう会社から出版されていて。 卒業する先輩とか友達とかいろんな人にあげました。

これはネイティブアメリカンの話で、インディアンの男の子が、ご両親とたぶん死に別れて、おじいちゃんおばあちゃんのところに引き取られて。そのインディアンの暮らしを通じて、おじいちゃんが人生の大事な事を教えてくれるんです。

当たり前の事なんですよ。人には嘘をついちゃいけないとか、人には親切にするとか、人の物を取っちゃいけないとか。だけどそういう事が、まぁ実にうまく迫害されて暮らしているインディアンの話と相まって書いてあって。だけど決して説教くさくなくて。

リトル・トリーっていうインディアンネームの男の子の言葉で書いてあるので、すごく親しみが湧くんですよね。僕目線で書いてあるから、僕の気持ちにすっと入れて。

あとこれ、食べ物がたくさん出てくるんですよね(笑)。

あぁ(笑)。

おばあちゃんの作ったパイとかが出てくるんですよ。

美味しそう。

それですね、結局(笑)。

また、食べ物の話(笑)。

これ、高校生くらいで出会って、自分にとって大事な本ですね。

なんか、「インディアンの教え」ってリトル・トリーじゃなくても、いろいろな作品とかに出てきたりするじゃないですか?

そういう中に、人が生きていく上で大切なものがぎゅっと詰め込まれていて、それがいわゆるキリスト教みたいな「戒律があってドン」みたいな縛りがあるものじゃなくて。

感謝だったり、人間っていうものが大きな自然の中の一部で、その中の一部として生きてく事が語られている印象があるんですね。

今、日本とかに住んでいるとなかなか無い感覚じゃないですか。そういうのを持って生きている人の考え方、生き方が、なんか「あぁ、豊かだなぁ」って感じます。

うんうん。

なんか、辛いことって話したくないかもしれないけど、私がフィクションじゃなくてノンフィクションに傾倒しているのは、例えば、黒人で奴隷だった人が小さいときから白人の主人に仕えなければならなかったり、主人から性的虐待を受けたり。そんな話を読んで、辛い話って共有したくないかもしれないけど、その辛かったことを私は知りたいんですよね。

結局、同じ人がしてきた事じゃないですか。悪い事も良い事も。

人ってどういう生き物なのか?ていう事が知りたいんだと思う。

あぁ。

だって、この本を読んだことない人はいるし、私がこれをどれだけ言葉を尽くして「この本いいですよ!」って言っても「ネイティブアメリカンなんて興味ない」っていう人は絶対いるから。

だから、そういう人ってどうして分かり合えないのかな?っていうところが私はたぶん知りたいんですよね。

じゃあその人が何に興味があって、どういう本が好きなのかって事が知りたい。もしかしたら本を読まないかもしれない。ぜんぜん人の愛情とか大事じゃないっていうかもしれないけど、どうしてそういう風になったのか?って知りたいと思う。

この本(リトル・トリー)のことを全部分かってる訳じゃないんですけど、時代が変わって人の生き方が変わっていって、科学技術が進歩して、なんかでも、それで人が幸せになっているかというとそうでもなか っ たりして。

なんか、そういうさっきの山小屋での話※とかもそうですけど、そこにあるじゃないですか。

※ 菅原さんに「読書するのに一番好きな場所はどこですか?」という質問をしたら、その答えが「それは山小屋ですね。私がいたところは携帯も通じない場所で、台風とかが来ると林道が通れなくなるからお客さんが山に入れなくなって。そういう時に山小屋の人間がやる事は、パンを焼くか、編み物をするか、読書しかなくて。私は大量に本を持ち込んでたから、窓のそばに椅子を置いてコーヒー片手に頬杖つきながら本を読むんです。」という最高に素敵なお話しを伺っていました。

その瞬間に変えられるものって無いじゃないですか。
自分の好きな本があって、静かな時間があって、暖炉が暖かくて。そこにあるのに、それを得るのに凄い回り道をしているところがあるし、他の人と比べたりとかあって。なんか変な感じがしますよね。

そうですね。でも、比べる事に意味が無いって事に気づく人と気づかない人がいるんだと思う。結構人って、自分と他人を比べて生きていくと思うんですよ。

私、人と自分を比べる事が本当に意味が無いって自分から心底思えたのって、タウンニュースに入ってからだから、33、4の時でした。だからわりとつい最近まで人と自分を比べて自分のことを卑下してたけど、結局同じじゃないから。

皆違うし、比べる事ってほんとに意味がないんだなって。それまで結構いろんな事にとらわれてたけど。例えば結婚してないとか、家が無くて賃貸に住んでるとか。本当にちっちゃい事までいろいろ人と自分を比べて嫌になったりしてたんですけど、なんかね、なにかを境に、それがなんだったか分からないんですけど。

仕事で認められた事もあるし、すごい頑張ったのに認められなかった事もあったし。でも、なんか、一番仕事をがんばっているときに、人と自分を比較することほど意味の無い事はないから、それは止めようって思いました。なんだったかきっかけは忘れちゃったけど。

それは、やめようって思ってから結構すんなりやめられましたか?

うん、すぐやめられました。

それはすごい。

なんかもう、人と自分は違うから。自分は自分で人は人で同じ訳がない。家庭環境も違うし、生活も違う。好きなモノも大事なものも違う。全然。比較なんて何にもいらないんだって。だから今は人と比較する事は全く無くなりました。 いいのかどうか分からないけど、気にならない。

ありがとうございます。

うーーん、なんか不思議だなと思うんですけど、インディアンって話だとアメリカはまずインディアンってものがあって、そこからこう、ああいう国になってくじゃないですか。なんかそこの大切な教え、みたいなものがあった筈なのにそれと一番対局な方に行ってる感じがして。

不思議ですよね、アメリカって国は。

ものすごい寛容なのに、ものすごく自己主張強くて。すごく感情的なハートフルな事が大好きかと思えば平気で人のこと侵略するし。全然理解出来ないんですよね、いまだに。まぁ理解しようと思ってないんですけど。謎ですアメリカって。

私は2年半くらいアメリカに住んでいまして。

そうなんだ。

アメリカの短大に行ってたんですよ。洋服のデザインの勉強とかしてたんですけど。

何州にいらしたんですか?

ニュージャージー州。ニューヨークの下の方にあって。

都会の方?

そうですね。東海岸にあって、日本で言う京都みたいな場所で。
一番最初に首都が出来たのがニュージャージーなんですよ。そのあとワシントンに遷都して。もともとの一番最初のスタートの地だから、結構歴史的な建物とかあって。ニューヨークほどごちゃごちゃしてなくて、こじんまりとしたいいところだったんです。

でも、アメリカに住んでてやっぱり「変な国だな」とずっと思ってたんですね。まだリーマンショックの前のタイミングで、TVでCMとかやってるのを見ると「車を一台買ったら一台プレゼントしますよ!」とか「1円もお金なくても住宅買えますよ!(頭金が一切要らないという意味)」とか、そういうCMが大量にやっているんですよ。

すごい変な感じで、なんか「あっ、これが資本主義の究極なんだ!」って思いました。

なんだけど、アメリカって国は世界でずっと世界で一番の国で、今でもやっぱり新しいITとかの部分で最先端をいってる国だし、そういう強さもあって。

でも、国の真ん中の方とか南側の方では、むかーしからのアメリカっていう、閉ざされた、それこそ世界地図の中でアメリカがどこだか分かんない、アメリカが世界だと思っていたりする人たちが住んでるから。

あはは(笑)。

なんかすごい不思議ですね。広いし。人も多いし。




お話しを伺った感想を少しだけ:

「人はどこに向かってるんだろう?」と考える事があります。通勤電車の中でみんながスマホを覗き込んでいるいつもの景色。もう見慣れましたが、たまにふと「これでいいのかな?」とも思います。現実では到底口に出す事の出来ないインターネット上に溢れる悪意ある言葉。SNSがあるからこそ生まれる妬み、嫉み。

確かに便利になったけど、幸せになったか?と聞かれると「はい。」とは答えづらいようなこの感じ。

こっちの方向ではない幸せのかたち。菅原さんが山小屋でゆっくり読書をしている時の様な豊かな時間が、このリトル・トリーという本には流れているんだろうな、と感じました。


菅原裕さんが紹介してくれた大切な本の一覧はこちら

1,「長くつ下のピッピ
2,「ワーズワースの冒険
3,「リトル・トリー
4,「邪宗門」「大本襲撃」「放送禁止歌
5,「錦繍」「手から手へ
6, 「Michi みち